床が決まりました。次は壁です。
ここで多くの人が、無限にある壁紙の前で立ち止まります。
けれど実は、選ぶ順番さえ守れば、候補は数枚まで絞れます。
壁と床は、別々に選ぶものではなく、ひとつの面のつながりとして見るものです。
床と壁紙は、①明るさ → ②素材感 → ③柄の強さ、の順に決めます。
最初に空間全体の明るさを決め、次に素材の質感を合わせ、最後に「どちらを主役にするか」で柄を選ぶ。この順番で考えると、迷う回数が減り、失敗もほぼなくなります。逆に、いきなり色や柄から入ると決まりません。
床と壁紙を別々に選ぶのではなく、その部屋を明るく広く見せたいのか、落ち着いた重心のある空間にしたいのかを先に決めます。ここが決まらないまま個別に選ぶと、あとで必ずぶつかります。
明るい床と明るい壁は、光を反射して部屋を広げます。濃い床は空間に輪郭と重心をつくり、家具が引き立ちます。どちらが正しいということはなく、その部屋で何をしたいかで決まります。
白でまとめる、グレーでまとめる。それ自体は失敗しにくい選び方ですが、床と壁を完全に同じ色にする必要はありません。床をわずかに濃く、壁をわずかに明るくする。それだけで、部屋に安定感と広がりが同時に生まれます。
逆に、床のほうが壁より明るいと、床が浮いて落ち着かない印象になりがちです。「下が濃く、上が明るい」は、屋外の風景と同じ構造です。人はその並びに慣れています。
明るさが決まったら、質感です。同じグレーでも、石目、木目、織物調では、部屋から受ける印象がまったく違います。色が合っていても素材感がちぐはぐだと、なんとなく落ち着かない部屋になります。
床が木目なら、壁は塗り壁調やクロスの織物調。床が石目なら、壁はやわらかい質感。同じ素材感を両方に使うと、単調になるか、あるいは主張が重なって重たくなります。
このとき基準になるのは、置く予定の家具です。木の家具が多いなら床は石目に振り、金属やガラスが多いなら床は木目に振る。部屋全体で、硬い素材とやわらかい素材が半分ずつくらいになると、バランスが取れます。
床にも壁にも強い柄を使うと、部屋の情報量が一気に増えます。目に入る要素が多すぎると、人はくつろげません。だから、主役は一つに絞ります。
床に表情のある素材(木目のはっきりした柄、大きな石目)を選んだなら、壁は静かに。壁の一面にアクセントとなる壁紙を入れたいなら、床は無地に近いものにする。このルールだけで、部屋は破綻しなくなります。
壁の一面だけ色や柄を変える方法は、部屋に奥行きをつくります。選ぶなら、窓のない面か、ベッドやソファの背面。視線が向かう先に置くと効きます。四面すべてを変えると、単に暗い部屋になります。
| 部屋 | その部屋ですること | 床と壁紙の考え方 |
|---|---|---|
| リビング | 人が集まる。長時間過ごす。 | 明度差を大きくしすぎない。長くいても疲れない、中間のトーンが安全です。 |
| 寝室 | 眠る。光を落とす。 | 反射を抑えた落ち着いたトーン。カーペットなど、音を吸う床材とも相性がよい部屋です。 |
| 書斎・仕事部屋 | 集中する。画面を見る。 | 背景の情報量を減らす。柄の強い壁紙は視界に入ると気が散ります。 |
| 洗面所・水回り | 水を使う。短時間で出入りする。 | 狭い空間なので、明るい色で広く見せる。床は耐水性を優先します。 |
| ペットのいる空間 | 走る。眠る。汚す。 | 見た目に加えて、滑りにくさと手入れのしやすさ。毛色と床色の関係も考えます。 |
※部屋ごとに床材を変えるのは珍しいことではありません。用途が違えば、最適な床も違います。
手のひらサイズのサンプルと、部屋一面に張られた状態では、色の感じ方が変わります。床は広がるほど明るく、壁は広がるほど色が濃く感じられる。サンプルは、できるだけ大きなものを、床に置き、壁に立てかけて見てください。
自然光の下で選んだグレーが、夜の電球色の照明ではベージュに見える。これは頻繁に起きます。その部屋で長く過ごすのが夜なら、夜の見え方を基準にしてください。
床と壁は、家具の背景です。すでに持っている家具、これから買う家具の色と素材を決めずに背景だけ選ぶと、あとで家具が浮きます。手持ちのソファやテーブルの写真を、選定の場に持っていってください。
床と壁の境目には巾木があり、部屋にはドアや窓枠があります。これらは既存のまま残ることが多く、たいていは白か木目です。新しい床と壁がこの既存色と喧嘩しないかは、意外と見落とされがちな確認点です。
間取り、日当たり、置く家具。条件をうかがったうえで、床材と壁紙、カーテンまでを一つの空間として提案します。サンプルをお手元で確認いただくこともできます。
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