賃貸物件を申し込んだ後に、もっといい物件が見つかったり、事情が変わったりして、申し込みをキャンセルしたくなることってよくあると思います。
しかし、多くの方が「申し込んだ後にキャンセルってできるの?」とか「キャンセルしたら違約金とか取られちゃうの?」といった疑問を持たれることが多いです。
そこで本記事では、そういった賃貸物件の申し込み後のキャンセルについての疑問を解消していきます。
また、法律用語の「諾成契約」ってのがどういう意味なのかや、契約が成立した後のキャンセルの処理についても詳しく説明していくので、ぜひ最後まで記事をご覧ください!
諾成(だくせい)契約とは
「諾成契約」は、当事者間の合意のみで成立する契約
こういう契約だと、口頭だったりメールやLINEみたいな電子的なやり取りで意思表示があれば、それだけで契約が成立したとみなされます。
民法における諾成契約
宅地建物取引業法第35条
宅地建物取引業法 – e-Gov法令検索
宅地建物取引業者は(中略)又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
民法の文章って難しいよね。わかりやすく説明していきます!
民法では、多くの契約が諾成契約として扱われるんだけど、賃貸借契約に関しては特別な扱いがあります。宅地建物取引業法に基づいて、重要事項の説明(宅建業法35条)が必要で、賃貸借契約書にはサインとか印鑑を押すことが絶対必要です。
つまり、賃貸借契約では、単純な諾成契約の原則が適用されません。
捺印:自分で書いたサインにハンコを押すこと
宅地建物取引業法の影響
宅地建物取引業法で決められているので、賃貸物件の申し込みの時点で、電子的なやり取りがあったとしても、「契約が成立した」ことにはなりません。
そのため、キャンセル料とか違約金を払う必要はないです。
しかし、契約が成立するには書面での確認が必要になるので、賃貸借契約が成立する前にキャンセルする場合でも、ちゃんと手続きを踏むことが大切です。
賃貸物件の申込後のキャンセルできるのか
賃貸物件の申し込みをした後にキャンセルすることは、基本的にできます。しかし、キャンセルするときに気をつけないといけないポイントがいくつかあります。
申込キャンセル時のポイント
契約書にサインして契約が成立する前なら、普通は違約金がかからないことが多いです。
しかし、申し込み時に払った申込金とか手付金は、返してもらえないことが多いから注意しましょう。
申込金 | 物件を仮押さえするために払うもので、キャンセルしたら返金されないことが多い |
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手付金 | 契約を結ぶ意思表示として払うもので、これを払うと、キャンセルしても返金されないことが多い |
申込金と手付金、それぞれ上のように扱われます。
キャンセルしたい場合は、すぐに不動産会社やオーナーに連絡して、丁寧に状況を説明しましょう
場合によっては、事情を理解してもらえるかもしれません!
申し込む前に、不動産会社のキャンセルポリシーを確認しておくことが大事です。
キャンセルについてのルールとか、違約金についての詳しいことが書いてあります。
申込キャンセル時の返金
賃貸物件の申し込み後のキャンセルは基本的にできますが、申し込み時に払った申込金や手付金は返金されないことが普通です。
契約書にサインする前なら、違約金がかかることは少ないですが、不動産会社や物件のオーナーと事前に確認して、キャンセルするときは丁寧に対応することが大事になります。
賃貸物件の諾成契約のキャンセルは可能!
賃貸物件の入居申し込みをしただけなら、キャンセルは原則としてできるし、特別なお金の負担もありません。
賃貸物件を借りる流れは、入居申し込みから始まって、その後入居審査を受けて、審査に通ったら重要事項説明と正式な賃貸借契約を結びましょう。
申し込みの段階では契約成立ではない
申し込みの段階では、まだ正式な賃貸借契約が結ばれていないので、法的にキャンセルしても問題ありません。キャンセル料や違約金を請求されることもないし、仲介会社に預けた預かり金も全部返金されるはずです!
もし返金してもらえないなら、宅地建物取引業法違反の可能性があるため、消費者センターとか不動産業の監督官庁に相談しましょう。
諾成契約を主張された場合
不動産取引では「諾成契約」って言われることがあるから注意が必要です。
諾成契約っていうのは、口頭で合意すれば成立する契約のことを指しますが、不動産取引では、宅地建物取引業法によって重要事項説明書を渡すことと契約書にサインと印鑑を押すことが必要です。そのため、単に申し込んだだけでは諾成契約は成立しません。
でも、「契約締結上の過失」によって損害が出た場合は、損害賠償責任を負う可能性があるので、申し込みやキャンセルするときは慎重に対応しましょう。
賃貸物件の契約をキャンセルする際の費用
賃貸借契約を交わした後のキャンセルは、入居前でも単純なキャンセルじゃなくて、物件の解約扱いになります。この段階でキャンセルすると、いくつかの費用がかかるから、次の3つの点に注意してください。
- ・返金されない費用
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一度払った礼金や仲介手数料は、契約を解除しても普通は返金されません。
- ・家賃について
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賃貸借契約の解約通知期間が「1ヵ月前」と決まっている場合、解約通知をした月の日割り家賃と次の月の家賃が発生します。解約通知期間が「2ヵ月前」の場合は、さらに次の次の月の家賃も払わないといけません。
- ・返金の可能性がある費用
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部屋が使われていなければ、敷金や鍵交換費用は返金される可能性があります。
あと、火災保険料は、保険会社に連絡すれば残りの分の返金を受けられるかもしれません。
契約後のキャンセルは、不動産仲介会社や物件のオーナーにとってもいい状況じゃないので、賃貸物件を申し込むときは慎重に検討して、契約する気がある場合だけ進めることが大事です。
もしキャンセルしないといけなくなったら、できるだけ早く連絡を取って誠意を持って対応することが望ましいです。
まとめ
賃貸物件の申し込み後のキャンセルは、契約書にサインする前なら基本的にできるし、違約金がかかることは少ないですが、申込金や手付金は返金されないことが多いです。
契約成立後のキャンセルは物件の解約と同じ扱いになって、解約通知期間とか返金されない費用に注意が必要です。
諾成契約がどういうものか理解して、契約前にしっかり情報収集して検討することが大切になります。
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